近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

働く環境だけを変えてもイノベーションは起こらない

かつてないほどのイノベーションブームである。

私は働きだしてそろそろ40年。

イノベーションという言葉に出会ったのはいつ頃だろうか?

明確には覚えていないが、創業した時ではない。

 

今から30年前のこの頃は、第三次ベンチャーブームがまさしく始まろうとしていた。世はバブル崩壊の中、先行き不透明、社会全体の不安感が漂っていた。だが、正直、私は絶好のチャンスだと思った。

そもそも人間は、困難やピンチの時に、必ず挑戦する人が出てくるし、失敗にもめげず、新しい世の中の創造に貢献する。

当時は、ここまで大袈裟ではなかったが、周囲の“なにもこんな時期に独立しなくっても・・”という声に対して、“こんな時期だから面白いんです”と意地で返していた。

そんな私が、周辺の平均的な思考回路の人を不安にしたのは間違いないと思う。

それからあっという間の30年。私が関わってきた事業の領域で言えば、ITバブル崩壊、リーマンショック、そして今回のコロナ禍と想定外の嵐に何度か巻き込まれた。

 

まず、他人事として眺めていると、必ずこんなタイミングで変革は起こる。変革は概ねイノベーションと言えるだろう。

イノベーションと言えば、“イノベーションのジレンマ”という名著がある。要するに、平時にはなかなかイノベーションは起こらない。

今が安定してればいるほど、人間は守りに入るので、新たな挑戦はできない。仮に挑戦してもちょっとだけで終わる。

 

当たり前の話だが、イノベーションが成功する確率はとても低い。だから、今の成功した結果の基盤の上で活動している人からは、イノベーションを生み出す人がほとんど出ないのは当たり前のことである。

 

話は変わるが、今、コロナ禍で一気に進んでいる働き方の変化がある。

一つはワーケーションである。要するに、都会などのオフィスで働いていくしかなかった人たちが、自然に恵まれた田舎の環境で働く。

基本的には、オンラインで都会の本社と地方をつなぐ。こんな感じが主流だ。

こういう働き方のスタイル変更でイノベーションを創出しようという掛け声も最近目立つ。

私はかなり懐疑的だ。

確かに、自然に囲まれて仕事するとリフレッシュにもなるし、発想も豊かになる。クリエイティブな仕事やそれまでの日常でなかった人付き合いも増える。

 

だからと言って、それが世の中を変えるイノベーションにはつながらない。せいぜい、既存事業の周辺領域のビジネスを生み出すぐらいだろう。

 

事業を既存事業、周辺領域の事業、革新領域の種まきの3つに分けて考えた時、イノベーションと言えるのは、革新領域の事である。私は大体感覚的ではあるが、7:2:1の比重で事業活動している。

最近流行りの、ダブルワークは働く中高年にとって、これから社会人になる人にとっても、とても有意義である。人生100年時代に必要なトレーニングと思えば、とても貴重な機会になる。だが、イノベーションの創出にはならない。

 

このイノベーションの話は、世界中で見れば、やはり、新興国に沢山ネタがある。

それは混沌としていて未発達であるからである。そこに、ハングリー精神旺盛な若者がいる。爆発的なイノベーション新興国で生まれる所以だ。

 

日本はどうか。今のように恵まれ過ぎた国では、そもそも、イノベーションは生まれにくい。

 

ワーケーションであろうが、ダブルワークであろうが、働く場所と言うよりも、誰とつながるかを意識したほうがよっぽど刺激的である。そういう意味でも、新興国の人達とのつながりをもっと日本に浸透させようと考えている。

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以上