近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

ジェロンテクノロジーでシニアのQOLは改善するか

ジェロンテクノロジーは、一般の人にはまだまだ馴染みがないと思う。

この説明の前に、ジェロントロジーを理解していただく必要がある。学問や考え方のことであるが、高齢化社会の深刻な日本は、全国民が学ぶ必要がある知識だと思っている。

 

日本語で老齢学と言うが、高齢化社会を知るための知識や現状認識ということになるだろう。

ちなみに、ウィキペディアの説明では以下のようになっている。

老年学(ろうねんがく、英語: gerontology:ジェロントロジー ドイツ語: Gerontologie)は、比較的新しい学問で、もともと発達心理学から派生した学問のため、老齢化又は老いることについて心理学的な立場から考える学問として生まれた。老人学(ろうじんがく)、加齢学(かれいがく)ともいう。

 

私が知っている範囲で、説明を加えると、この老人学、加齢学とも日本ではなじみがない。世界でも突出した高齢化社会の日本には、まだまだ、学問として学んでいるという意識はない。米国などでは当たり前のようだ。不思議なもので、横文字で、ジェロントロジーと言えば、新鮮味があり、知りたい欲求をそそられる。

 

実際にこれに呼応した検定が存在する。

高齢社会検定である。一般社団法人未来社会共創センターが運営している。

私も数年前に受験して、合格した。正直、資格試験としてはそれほど難しいものではないが、実に学びが多い。

良くある話だが、他人ごとではなく自分事のはずの日本の高齢化社会の実情をほとんど知らなかったり、誤解していたりすることに気づく。しかもこの試験は網羅的になっているので、バランスよく考える視点が身につく。

 

私の今の活動も、この高齢社会検定で学んだことにかなり影響を受けている。

一旦、ジェロントロジーの説明は終わりにする。

 

これで、少しは、ジェロンテクノロジーが想像できるようになったでしょうか?

日本語に戻ると、老齢学にテクノロジーということである。

 

概ね、ここでいうテクノロジーとはICTがベースになっているが、今どきであれば、DXの話と親和性が良い。DXはデジタル技術を活用して、世の中の仕組みや社会の生活に変革を起こすと解釈すれば、課題が山積みの高齢社会の仕組みや営みに変革をもたらす期待が膨らむ。

 

シニアのQOLを高めるということは、随分前から国も行政も民間も錦の御旗に掲げてきた。にもかかわらず、シニアのQOLは劇的には改善してはいない。

もちろん、もともと、アクティブシニアのQOLは一般の生活者と同じ世界で変化していると言える。ところが、独居老人ともよばれる一人暮らしのシニア、体の不自由なシニア、寝たきりのシニアなど、様々なハンディキャップを持った人たちの生活環境はなかなか改革が進まない。

 

これは、ある意味アナログの限界である。

バリアフリーにしても、重要なのは物理的なアナログ世界の改善と充実である。

更に人がケアする必要がある世界では、アナログの人手が必要だ。

 

今は介護なども新興国の若者に頼らざるを得ない。こういう流れは歓迎する部分ではあるが、一方で、人手に頼らず出来る事がDXの進展で、劇的に増えていくのは間違いない。

そういう意味では、社会の変化に適応するべく、テクノロジーの有効活用が必要である。

 

モビリティや見守りは言うまでもなく、進化するテクノロジーで出来る事は無限にあると言える。ただ一方で商売チャンスで捉えるとたちまち窮屈になる。

 

日本はかつて高度経済成長時代、社会インフラや交通インフラに膨大な投資をしてきた。これからの社会はシニアが快適に暮らす社会インフラ作りが最優先されるべきであるのは疑う余地はないが、テクノロジーの投資をするにしても、高度成長期時代のハード中心の投資に比べたら、とても低コストで実現出来る事でもある。

私もこういう活動に少しでもでも関わっていきたいと思う。

画像1

 

以上