近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

シニアの取扱説明書を自分で創る意味

シニアと接する機会が社会全体で少なくなってきた。言うまでもなく、核家族化が根底にある。

 

高度経済成長の過程で、労働者として地方から都会に向かい、移住してそこでの生活が始まる。また、地方の若者も社会に出ること=都会で働く、活動するという構図が長らく続いてきた。

このコロナ禍を契機に、都会から田舎へという動きも顕著にはなっては来たが、まだまだ、全体から見たら少数だ。

 

日本は世界で類を見ない高齢化社会が進展している。本来であれば、身近なところにシニアが沢山いて、接する機会も増えるだろうに、世代間の格差は広まるばかりだ。

 

私のベトナム人の友人が日本に初めて来たときに、言った一言が今でも忘れられない。

“年齢の高い人が沢山いる国だね”。

都会での話である。実に分かり易い。数年前のベトナムの平均年齢は30歳を超えるかどうか。私もベトナムでいると実感していたが、とにかく若い。農村部ではどうかというと、これまた若い。昔の日本の高度経済成長期前の姿だろう。

 

今のベトナムは都会に出てくる人も多くはなったが、正月や夏休みは、帰省ラッシュだ。もともと、ベトナムは家族主義なのでそういう習慣もあるが、まだ全世代同居の国だ。

 

私は子供の頃、おばあちゃんとのやりとりが日常だった。孫としての立場も子供心に心得ていて、臨時の小遣いが欲しいときは、おねだりすると毎回期待にこたえてくれた。

亡くなった時も、病院ではなく家の中だった。

もちろん、農村であるし近所にはどこの家にもおばあちゃんもおじいちゃんもいた。そもそも、農家というのは今でも変わらないところがあるが、家族全員が働き手である。

だから、子供として農家を手伝っていた私もおばあちゃんも一体感があった。トイレの神様という歌がある。孫とおばあちゃんの物語なのだが、何度聞いてもとても切ない。多分、私の心の根底に自分のおばあちゃんとの生活の思い出があるからだと思う。

 

核家族化は世の中の流れとして仕方がない。ただ、結果として子供の頃にシニアと接した経験がない大人が増えてくる。

これからは、シニアの方が、もっともっと、お元気で社会の中心になるようになってほしいと私は切に願っているし、小さいながらもきっかけになるような活動をしている。

 

そんな中で、定番として、話題に上ることは高齢者との付き合いは大変だよね。コミュニケーションが難しいよね。こんなネガティブな話しも実際に多い。

私は経営者の立場として、ビジネスの世界でそれなりに実績を積んできただろう人を中心に接点を持つことが多いが、正直、勘弁してほしいという人も結構多い。

世間でも言われている通り、こんなシニアにはならないようにしようベトス5は直ぐに書ける。

ちなみに、順番はともかくとして、昔のことばかり言う、同じことを何度も言う、自分の考えを曲げない、人の話を聞かない、上から目線こんな感じだろうか。

 

これは、良く考えてみるとシニアだからこうなったという部分と、そうでなくても、例えば、40代、50代でも当てはまる人も多い。

原因は混在していると言える。シニアのためにも、シニアご自身がシニアの取扱説明書を書くと良いのではと数年前から思っている。

きっかけは、西野カナさんの取扱説明書の歌を聞いたことだ。これは、女性である彼女が、彼氏に対しての自分の取り扱いを切々と諭すような歌詞だが、何度聞いても実に面白い。

 

私は、すでにこういう世代を過ぎているので、自分の反省としても聞ける。世の中には、シニアの取扱説明書の類の本はそれなりに発刊されている。しかし、自分自身の取扱説明書を創っている人はあまりいない。

自分のPRをするための書類などを作っている人はビジネスの世界では多い。当然、こういうスキルに長けているからであるが、実によくできている。しかし・・自分の取扱説明書ではない。

 

シニア予備軍としても、できるだけ早目に、自分の取扱説明書はまとめておいて、時々、身近な人に批評してもらうのが良いのではと思っている。

 

 

以上