近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

やってみないと分からないことをやる意味

人間には、やってみないと分からないことを積極的にするタイプと、やってみない分からないことはしないタイプがあると思う。

 

そして、前者の比率はいつの世の中も、圧倒的に少ない。

 

まして、今のように情報が溢れ、ネットでやり方やノウハウ、成功事例などが動画などで沢山あると、自分がやらなくても事足りることが増えてきた。

そういう意味では、今は、自分がやるかどうかではなく、お手本や師匠をどうやって見つけるかという時代だとも言える。

 

私は、やってみないと分からないことをするのが好きである。これは自他ともに認めるところであるが、このやってみないと分からないことには2種類あると思っている。

 

一つは、世の中で誰もがやっていないこと。それこそ、ノーベル賞級の発明の類だ。

 

まあ、ここまで大それたことでなくても、日本で初めてのビジネスモデルを考えるということにも結構関心は強く、創業以来常に頭にある。

今であれば、グローバルで世界初にも意識は持ち続けている。ただ、ここで結果を出すのは本当に至難の業だ。必然的な巡り合わせも必要だし、そういう意味での運もある。

 

もっと言えば、自分の人生がそういう役割になっているのかという問いかけでもある。

 

一方、もう一つは、当たり前に沢山の誰もがやっていることでも、自分にとって初めての時にどうするか。これは結構、やり方に迷うしバランスをとるのが難しい。

 

私がベトナムでビジネスをしてきた中で、日本でも経験したことがないビジネスにいくつか取り組んで来た。

 

日系初の日本語とITの教育学校を設立したのが2007年。ベトナム人の若者はこの頃から日本に行きたい人は沢山いた。だから、ちょっと募集しただけで、生徒が殺到した。リーマンショックなど、様々な影響を受けたが、色々と学びが多かった。

 

2010年には、日本の商品や物産品を売るショップを新興タウンにできたシンガポール系のショッピングモールで始めた。広さは約650㎡。今にして思えば、とっても広かった。

 

実は、日本で2年ほどペットを売らないペットショップを運営していたことがあるので、全く小売りは初めてではなかったが、なにせ、場所がその頃のベトナムである。失敗とトラブルのオンパレードだった。

イオンも高島屋もまだ進出する前だった。

 

内容から陳列、品ぞろえなど何から何まで初めてのことだった。ベトナムなので、輸入の手続きも骨が折れた。

 

この時の周囲の反応がとても印象的だった。

やっていること、チャレンジしていることに賛同していただいた人も沢山いた。

一方で、日本の店と比べて、色々と親切にアドバイスや意見をくれた人もいた。もちろん、批判する人もいた。プロの店とは思えないと。

 

この時私が考えていたことは、単純だ。

確かに日本の小売りのプロに委託すればとても素晴らしいものができるだろう。

ただ、この時代のベトナムは日本の最先端のものを欲していたたわけではない。日本のことを何も知らなかった時代だ。私は手作りの素人感覚の店を選択した。

 

もう一つは、私の根底からの考えであるが、何事も最初からプロの人はいない。どんなことも初めは素人だ。その段階から、自分たちで試行錯誤することによって得られるものは沢山ある。

 

実際に、大きな投資ではあったが、内装業者との付き合いも広がった。社員研修のノウハウも溜まった。日本のメーカーとの付き合いも今でもつながっている。税関の対処の仕方も学んだ。きりがないくらい沢山のことを得た。

 

正直、小売りと言う商売だけで見れば、失敗の事業の一つだが、これが様々なところに派生して、今でもこの時の実績と経験で小売店の進出支援などを行っている。

 

私は、やったことのないことをやる意味は、学びだと思っている。

もちろん、その学びを活かせる機会や場所がなければ、意味がないが、何事も初体験と言うのは仕事冥利に尽きると思っている。

 

以上