近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

田舎で買い物をしてみて想ったこと

去る9月の台風一過のある日のこと。

南あわじ市の田舎町に宿泊した。

宿泊と言っても、私たちのブレスタ活動として借りている民家だ。

ブレスタ活動にご関心がある方は、こちらをご覧いただきたい。

 

場所は津井という瓦で有名な街。

瀬戸内海と小高い山に囲まれた農村である。

私達が利用している民家の周辺は稲作だ。

ちょうど今の時期は、収穫間際の稲穂が自然の情景を更に豊かなものにしてくれる。

 

築約40年の民家。

初の泊りということだが、まだキッチン道具も十分にそろえていない。かろうじて冷蔵庫は新品が届いたばかり。3日前にはビールだけは用意して、しっかり冷えている。

 

実はこの一帯に多分歩いて行ける飲食店はない。

もちろん、車で10分ほど走れば、少しだけレストランはあるが、コロナ禍の中、たいていの店は営業制約がある。のんびりとは初秋の夜長は味わえない。

 

私は一人暮らしたが長かった。だから買い物は結構好きだ。さっそく車のカーナビでコンビニを検索してみた。やはり津井にはどうもコンビニはなさそうだ。

 

結局、閉店間際の街の小さいスーパーでお酒と軽めの食事を買った。レジでオーナーの奥様らしき女性と自然と会話が始まった。男二人。見かけない顔の私達に、どこに住んでいるのですか?

このお店から古民家までは、歩いても5分程度。いきさつなどを説明し、この街の人間関係にも少し明るくなった。

実は、私は、徳島のど田舎で育った。

だから子供の頃、買い物する場所は限られていてお菓子を買うための駄菓子屋が近所にあったぐらいで、食料品は車で走らないといけなかった。でも、家の近所で買い物がすぐできなくても、不便を感じたことは全くなかった。当たり前だったからだ。

 

学生時代から都会に住むようになった。

今は、日本国中どこに行っても、同じに感じているが、ちょっとした街には必ずコンビニがある。

そして、コンビニの生活必需品の品ぞろえは年々充実するばかりだ。実際、私は、都会の自宅近くのコンビニでは相当お世話になっている。

 

コンビニの中には、小ぶりのスーパー顔負けの、食料品がそろっているところもある。野菜や果物も最近は増えた。鮮魚は流石にないが、およそバラエティに富んだ買い物ができる。

 

もともと、地方の過疎化や高齢化の問題には関心があり、買い物難民という言葉が以前から課題認識としてある。

特にお年寄りが、歩ける距離に買い物する場所がなくなっていき、車を使うと言っても高齢化の中のシニアの免許問題も社会問題にもなっている。

 

移動がままならないお年寄りや体が不自由な方たちにとって、今の田舎は不便で住みにくい場所とも言える。だからといって、至る所にコンビニを作るということはできない。

 

最大限に拡大した人口に合わせた住まい方が、とっくに限界に達している。これからの地方活性化や地方創生のあり方というのは、やはり、買い物をどうするかであり、この課題は重い。

 

もちろん、この津井も車で15分ぐらいの場所には、今どきの大型の総合スーパーがあり、そこにいけば、生活用品がすべて手に入る。

この流れは、随分前から、ショッピングモールの地方進出の中で、地場の密着の小売店の存続を脅かしてきた。

 

何が便利か不便か、少し前までの価値観は大きく崩れつつある。昔々の小さいけれども、相互扶助的な役割も含めて調和がとれていた街の生活やサービスが懐かしくありがたい。

 

このあたりの充実がこれからの日本には欠かせないと改めて実感した。

これからも津井の人達とお付き合いを深めながら、縁があったこの街を何か一つでも、より良い場所にしていきたいと思っている。

 

以上