近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

0から1が得意か1から100が得意か

このタイトルでピンと来る人はそんなに多くはないと思うが、会社経営に関わっていれば、少なくとも1度や2度は、身近で話題になったことはあると思う。

 

一般用語とは言い難いが、簡単に解説する。

0から1とはゼロから事業を立ち上げること。

1から100は、事業の原型があるものを安定的な事業として定着、成長させること。

 

一般的には、前者が典型的な起業家タイプ、後者が事業遂行者タイプと呼ばれる。もちろん、両方とも社長であったり経営者である。

 

私も起業して今まで、何度も質問されたり、会話の輪に入れられたりしたことがある。

先に無結論を言うが、私はこういうステレオタイプ的な会話は何事に関しても、好きではない。常に物事には例外があると思っているからだ。

 

私の率直な感想というか考えを自分の起業体験と経営体験で説明すると、そもそも、経営者自身は、自分を0から1か1から100かの区分をしている人はいたとしてもごく少数だと思う。

 

私が仮にどっちが得意ですかと聞かれれば、どっちも得意ですと答える。

しかし、本音はどちらも難しい。

そして、0から1で成功して、かつ1から100で成功させるのは極めて難しい。

 

 

野球で言えば、今でも先発完投型に皆があこがれるし、選手本人もそれを目指していると思う。しかし、様々な時代の変化の中、今のプロ野球は日本も米国も分業制が当たり前になって、野球で言えば、先発、中継ぎ、リリーフという役割分担になる。

この野球も昭和のど真ん中の時代は、ほとんどの大投手は先発完投型だった。

実際日本にはそういう武勇伝も多い。一見すると昔の方が凄い投手がいたという意見に流されやすい。

 

しかし、今は、昔のシンプルな野球とは違って、トレーニングは科学的になるし、デジタル動画などでレビューも自由自在にできる。VRを使った戦術のシュミレーションなどもアメフトの世界では有名だ。また、近年では、データ分析によって戦略の立て方も変わってきた。

 

野球も複雑になって、多様になってきたと言える。そうなると分業制が効率よくなるのは自然と分かる。

 

私は経営も似たようなことだと思っている。

日本が高度経済成長期に差し掛かった頃、起業する人が山のようにいたと思う。

 

当然、勝算も何もなかったかもしれない。

0から1で走ったわけだ。

経営環境としては、右肩上がりで、マーケットが拡大する。適応する時間も余裕もある。1から100も0から1の延長でできた時代だったと思う。これが丁度今、ベトナムなどの新興国の経営者のやり方を見ていたら実感する。日本の昔と似ているなと。

 

一方、今の経営環境はとても変化が激しい。世界中がつながっている。経営に必要な情報も溢れている。こういう時代に0から1は昔と変わらず出来たとしても、1から100に至るまでには、大変な困難があると思う。

 

だから私は、0から1と1から100を区別すると言うよりも、どちらもやり甲斐があると思う。経営者としては、今の時代は、0から1もスリリングで挑戦心を煽るが、1から100もそれ以上に、変化に適応し俊敏に経営のかじ取りをしないといけない。

 

こんな時代に、1から100を担うのも経営者冥利に尽きると思う。今は、ある意味、分業制で継投型の経営が理にかなっているのかもしれない。

 

もちろん、起業の最初から、0から1でスタートダッシュしてあとは、会社を売る、会社を誰かに譲るという人も今は多い。

 

しかし、0から1が得意か1から100が得意か向いているかではなく、どっちも挑戦心がいるし、リスクテイクできないと今の時代は成立しないと思う。

 

私は、今のところ、先発完投型をしつこく目指している。

 

以上