近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

知識を話す人と体験を話す人の違い

 

話の長い人、良くしゃべる人との付き合いは大変だ。

これは、世間の一般的な思いだと思う。

もちろん、話すのが苦手な人も沢山いるので、話し好きな人と話すのが苦手な人の役割は自然に決まっていくように思うが、実際には、話す人と聞く人との関係は結構複雑だ。

 

特に仕事がらみになると、様々に思惑がある場合が多く、友だちや知人との会話とは自ずと違う。

 

例えば、ビジネスの初対面であれば、自己PRというか、自分の実績や考えを相手に伝えることは大事である。要するに自分を相手の人に分かってもらう。という単純なことであるが、これもなかなか難しい。

 

最大の理由は、ビジネスは常に利害が一致するとは限らず、利害が相反することの方が多い。ビジネスには交渉は付き物だし、自己PRで自社や自分の実績を伝えるとしても、初対面では特に相手のことは、あまり分からない場合が多く、まずは自分の話が優先になってしまいがちだ。

 

これを逆に考えたら、人の話を聴くということはビジネスにおいては何よりも大事になってくることが分かる。

だからと言って、相手の自己PRをずっと聴き続けたら良いと言うものでもない。

社長同士の会話でも、時々、一方的に自分のことを話し続ける人がいる。そこまでいくと、自慢話ではなくてもそう思えてくる。

 

大事なことは、どちらが先に話するかではなく、相手の反応を感じながら、会話のキャッチボールができるかどうかである。

一方的に、自分の話だけして、かみ合わない人とは、どのみち長いお付き合いはできない。

 

私は特に、調和を重視するので、相手の経験や実績が私より上であろうが下であろうが、話の中身そのものより、会話しながら共感ポイントを見つける努力に集中する。

 

一人ずつ人生経験が違うわけだし、年齢もマチマチ。お一人お一人との出会いを楽しむのが私のスタイルだ。だから、一方的に自己PRをするだけの人とは、良い付き合いはできない。

かといって、私の自己PRを聞いてほしいのでもない。それは付き合っていけば、お互いに自然と分かることだから。

もっとも、仕事の立場もあるので、自己PRをしてほしいと言われれば、幾らでもするし、相手の自己PRで会話が始まれば、それには応じるようにしている。

 

人との出会いで何よりも大切なことは、せっかくの一期一会なので、長くお付き合いしたい。お互いの人生観や仕事感、体験や失敗話を共有したい。だから仕事の成功話や実績にはあまり興味がない。言い換えれば、未来の話に私は関心が強い。

 

話好きな人の中には、知識を語る人も結構多い。昔風に言えば、博学の人だ。

20年前ならいざ知らず、こういう知識重視の人の話は、価値がどんどん下がっていると私は思っている。

 

なぜならば、知識は世間やネットに溢れているからである。しかも、スマホなどで検索すれば幾らでも見つけることが出来る。

自分が疑問をもって、訊いたことに応えてくれるのならありがたいが、こっちの前提も確認もせず無視して自分の知識を話続ける人がたまにいる。

 

これは、小学校ぐらいの今どきの授業を想像すればよい。昔の学校は、先生の知識がほぼ絶対だった。それと教科書は連動していた。

 

今は違う。今の子供たちは普通にスマホやパソコンを使う。ゲームでこういうデジタル機器も慣れている。だから、その気になれば、先生よりも知識の検索は早い。今の子供の環境は、すでに先生が積みあげてきた知識量を上回っていることになる。

こんなとき、知識だけ教えてきた先生は大変だ。しかし、子供からしたら、そういう退屈な時間ではなく、先生から何を知りたいだろうか?何を教えてほしいだろうか?

 

しつけや社会のマナーは子供が望むかどうかは別として、大人が教えるべきことである。あとは、先生の体験や自身の考え、社会のことではなかろうか。

少なくとも、徐々に学校の勉強もこういう方向にシフトしていく。

 

 

 

話は元に戻るが、知識は相手が知りたいと言えば、話しするのでちょうど良い。だから、聞き手の関心度はキャッチしたいところだ。

私は知識よりも体験や失敗談が聴きたいが、それもやはり、相手が聴きたそうなら話しすればよい

いずれにしても、長い話はよくない。

 

相手が自分のどんな話を聴きたいのかを見極める、それが会話の始まりだと思う。

 

以上