近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

良いものが売れるのではなく売れるものが良いものである時代

今、日本も子供の時に商売を学ぼうという動きがブームになりつつある。

 

米国などでは、どうやってお金を稼ぐかを子供の時に学ぶのが当たり前である。

例えば、目の前にオレンジがある。これをジュースにして付加価値をつけて売る。

そして、利益を獲得する。それが商売である。こんな風である。

 

私は、今でも経営は、たこ焼き屋のおじさんに学べ。で十分だと考えている。

 

10年ぐらい前まで、近くのスーパーの軒先でおじさんがたこ焼き屋をしていた。私はたこ焼きが好きで、よく買いに行った。自然と仲良くなった。必ず、良く買ってくれるからと2個おまけを乗っけてくれる。

毎回なので、おじさんはこうやって、顧客にサービスしているんだと妙に嬉しくなったことを思い出す。いつかは、このたこ焼き屋さんをモチーフに大人も子供も学べる商売の本を書けたらと思っている。

 

良いものが売れるのではなく売れるものが良いものである。

今のマーケティングの主流の考えだ。

これを今の子供たちが、知ったらどう思うだろうか?

私も、起業して以降、色々と商売を学ぶ過程で、定説のように言われているこの考えに出合った。

これは、マーケティングや販売促進を考える時のよりどころとなっている考えである。

 

この言い回しは、スっと受け入れて、この考えに則てビジネス活動すれば、すんなりと商売としては儲けにつながるというのは私も理解している。

 

ただ、この言い回しをかみ砕いていくと、中小企業の悲哀や、ものづくりの仕事をする人の弱点が浮き彫りになる。

更には、この考えが主流になってしまったら、最終的には顧客が損を被ることにもなりかねない。

 

実は、出版会社の経営に関わって20年近くになるが、この業界も良いものが売れるのではなく売れるものが良いものであるの典型的な業界だ。

 

まず簡単に出版ビジネスの流通を説明する。

日本には再販制度というのがあって、今でも新品の本は値引き販売は出来ない。

版元である出版会社が著者の本を制作する。そして、取次という卸を通して、日本の書店に配本される。基本は委託であり、売れなければ返品される。

 

どんな商売も一緒ではあるが、出版業界はとにかく新刊本が次々登場する。回転がとても速い。本屋に行けばよく分かるが、平積みという場所と棚差しという場所がある。

 

平積みの方が圧倒的に顧客の目に留まる。とうぜん、その場所に本を並べたい。だから、せっせと、出版会社は書店営業をする。売れ筋ベスト10の場所に並べばなお良しだ。こういうポジションを獲得する方法は幾らでもある。

 

 

 

今回は詳細は割愛するが、本を売るためには、新聞広告は絶大な効果がある。たちまち、増刷、重版という言葉が飛び交うあの広告だ。

アマゾンにしても、似たり寄ったり、広告で本は売ることが出来る。

 

いつの時代も売る気になって、それなりのコストをかけて、売っていけば、たちまた増刷、重版となって行く。こうやってヒット商品は作られるのである。

 

もちろん、本の出来がどうしようもなければ、結果も出ないが、平均以上の本であれば、売ることによって良い本として認知され、良い本が売れる構図にもハマってく。

 

多かれ少なかれ、今の商売の本質はにたようにものだ。

 

技術系の中小企業が幾ら世界に一つしかない特許を持っていても、マーケットに訴求して、売る努力ができないと意味がないのである。農業にしても同じだ。有機野菜でどんなすばらしい野菜でも、客の目に届かなければ買いようがない。

 

こんなことは枚挙に暇がない。

この10年ぐらいで、サプライチェーン見える化が進行しつつある。特に顧客が知りたい生産者や中小企業の情報がオープンになりつつある。

私は大いに期待している。今までは、顧客に近い側で、情報が限定化されていた。

 

これからは、生産者に近い側の情報がオープンになる時代だ。

そうすると、昔の日本にはあった、三方良しの時代が戻ってくる。

それは、良いモノが売れる。時代である。

 

以上