近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

ビヨンドコロナは日本企業の国際化のラストチャンス

ビヨンドコロナは日本企業の国際化のラストチャンス

 

このタイトルは、来る7月3日、一般社団法人日日本中国商会主催、日中ビジネスビジョンフォーラムでの私の講演のタイトルだ。

私にしては珍しい国際化というキーワードを使ってみた。

普段はグローバル化という言葉を好んで使う。それも、EGA(エマージンググローバルエリア)とオリジナルで使ってきた。このEGAは、新興国発展途上国を中心に世界を視たり、これからのビジネスを考えたりすることを総称した意味合いだ。

 

実は、今回、なぜ、国際化という言葉を使うかだが、これはこの会の主催者でもある剣豪集団(株)の鄭剣豪会長の提案だったからだ。

鄭剣豪さんとは、もう25年ぐらいの付き合いになる。たまたま、同じ大学出身ということもあり、日本企業を応援する立場で連携している。

 

鄭剣豪さんは中国人としての目線で、日本の良さを語る。ここまで日本を知り尽くした外国人を私は他には知らない。

2年前にも同じような企画で参加したが、今回は事情が違う。

 

 

日本だけでなく世界がコロナ禍に遭遇して、まだ、先の見通しが立たない部分もある。ただ、共通して言えることは、先進的な活動をしてきた人たちは同じ想いだ。 

日本は変わるチャンスである。

 

もちろん、世界の誰にとっても同じではあるが、日本は、世界の大多数からすると先進国である。そして、色んな意味で信頼されている。リスペクトされている部分もある。

日本がアジアやアフリカで期待されているのは私も日常のビジネス活動でヒシヒシと感じてきた。

 

私は、国際化とグローバル化は同じ意味で捉えているが、国際化の方がシビアに聞こえる。考えてみたら、グローバル化という言葉はとても曖昧模糊としている。

 

中国人の鄭剣豪さんが漢字で表現する意味を考えてみた。日本と中国の共通事項は漢字だ。そもそも、漢字は中国から伝来した。グローバルというのは原型は英語である。

 

日本に欠けているものはグローバル化。日本に欠けているものは国際化。こういう風に並べてみると、やはり、国際化の方がより深刻であり、分かり易い。だから、今回は鄭剣豪さんの提案の国際化を使うことにした。

 

その上で、日本の国際化を考えてみる。

ビジネスの目線のみで考えると、これからの新興国は未来の市場と考える。

 

いままでは、新興国は日本にとっても生産拠点だった。40年近く前から、安い労働力を求めて、タイから始まり、やがで中国にも広がり、そして、今はベトナムミャンマーという変遷だった。

 

こういう動きは、当該企業の産業の発展や労働機会を増やすと言う意味では、貢献している部分はあるが、それは逆にいうと、単に安い調達ルートとして利用しているだけの構図でもある。これでは国際化という言葉は当てはまらない。

 

そして、今は、新興国にマーケットを期待する動きが活発になって来た。これにしても、やはり、日本の商品やサービスを売る話だ。もちろん、買いたい人がいるから売る訳だが、それは当該国の富裕層だけが対象になりがちだ。高品質なものを買える人は限られている。

 

これも国際化とは言い難い。なんとなく企業のグローバル化といえば、当てはまるようにも思ってしまうが。

私の思う国際化とは、やはり、貢献だと思う。

新興国発展途上国の発展に貢献する。

健全な新興国の発展に貢献すること。

 

まず考えることは、当該国の産業の発展に寄与すること。それは、単純に、現地法人を出すことではない。

 

シンプルにいえば、自立するための支援である。それは、その国の起業家支援という形もある。技術やノウハウの移転や提供ということもある。

 

何よりもこれらの国から期待されていることは、人材育成である。

その背景には2つの信用があると思う。

一つは、日本人としての国際的な信用。

もう一つが、戦後復興の実績による信用。

 

こう考えていくと、今の最先端のビジネスのノウハウではない。日本の企業に新産業の創造をして欲しいわけでもない。自分たちがするために、教わりたいのである。  

 

この視点に立てば、日本の貢献できるところは、沢山あるし、しかも中長期的だ。目先だけでの国際化はありえない。日本が何をしたいかではなく、新興国などが日本に何を期待しているかということに耳を傾ける。今そういう意味での日本企業の国際化はラストチャンスだと思う。

 

以上