近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

科学技術以上に蓄積されて醸成されている人類の知恵

この1年、本に向き合う機会が一気に増えた。

 

もともと、自分でも本を出版した経験もあるし、カナリアコミュニケーションズという出版会社を運営している。だから平均的な人よりも本との接点は多い。

 

ただ、一方で、本を人並み以上に読んでいるかと言えばそうではない。私は、正直、本をちゃんと読みだしたのは20代後半だ。

それ以降は、本の価値は分かってきたつもりだが、仕事を優先して必要最低限の本しか読まなかった。読めなかったという方が正しい。

 

海外出張時には、気合を入れて10冊ぐらいの本をスーツケースに入れて移動していた。重さにしたら数キロはあるが、飛行機や出張先で読もうと準備だけは毎回していた。

 

しかしながら、ほとんど予定外の時間に取られて、1冊も読めない時も多々あった。こんな感じなので、読んでいない本がどんどん溜まる一方だ。

 

この1年は、普段よりは本を読むようになったが、それでも月せいぜい5冊ぐらいが限界だ。理由は簡単でやっぱり本を読むのには時間がかかる。

なかなか本に没頭する時間はとれない。

 読みたい本は増え続ける一方である。

 

 

1年ほど前から真剣に考えていることがある。

日本語の本だけに限っても、その本の存在を知ってしまうと、読みたくなる本は山のようにあるはずだ。

この1年だけでも買った本は500冊を越えた。実際に読んだのはこの十分の一程度。もし書棚に並べたら、結構な数にはなる。この1年分を読み終えようとしたら、きっと数年はかかる。

当然、この間も読みたい本は増える。

 

人間と言うのは、不思議である。人類誕生以来、何万年の間に様々進化してきている。

科学技術の目覚ましい発展はこの数百年のことであるが、これからの進化を考えたら、想像を絶する世界が待っているように思う。

 

しかしそれと比べても、本による人間の知恵や経験、ノウハウや思想などの記録は膨大で、しかもどんどん蓄積されていく。

 

こんなとき、誰でも思いつくかもしれないが、世の中の本が全てデジタルデータとなり、AI君が発達して、自分の代わりに膨大なる書籍データーベースから、自分が欲しい本を探してくれる。しかも本の中身の必要な個所を検索できる。もっと言えば、串刺し的に自分が知りたいテーマに関する本の中身が整理されて提供される。

こんな時代はそう遠くないと思う。

 

今は、たいていの紙の本も同時に電子書籍化されることが多い。仮に紙の出版だけだとしても、今は一旦デジタルデータ化はされている。だから、電子書籍にならなくても、データーベース化することは簡単だ。

 

イメージは世界に一つの人類の知のデーターベースができる感じだ。

こういうことが現実になった時、人間の学びがどうなるか?

学校の教育はどうなるか?

先生は何を教えるのか?

そのうち、世界の本を全部把握したAI君が新しい本を生み出す時代が来るかもしれない。

 

ビジネスにしても、例えば情報収集や調査業務という専門の業者がするような特殊な仕事がある。こういうのが自動的に抽出できるようになると、こういう仕事は必要なくなる。これらの仕事は、それなりのスキルを要するが、それすらAI君が代行するようになったときに、本を読む人はいなくなるのだろうか?

 

こんなことを考えていると、読めない本の山積みに悶々としながらも、なにげに読みだした本をきっかけに何かワクワクするネタやキーワードを見つけたり、関連のある本にまた出合う。こういう偶然の感覚が残っている今がとても恵まれているのかもしれないと思う。

 

しかし、できることなら、買ってきた本を一気に内容を把握する方法はないものだろうか?というのがもっかの私のストレスの要因である。

 

以上