近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

ユーザー企業がソフトウェアサービスを出来る時代の到来

IT業界にも、ソフトウェアのオーダーメードという考え方がある。

いや、あったという方が、今では正しいかもしれない。

話は変わるが、私達が着るスーツの世界を考えてみる。今、流行りなのがオーダーメードのスーツである。昔、オーダーメードのスーツは高かった。だから、既製品のスーツが良く売れた時代が長かった。

 

このスーツの歴史を簡単にまとめるとこういう感じだ。

昔はオーダーメードでスーツを作っていた。その後、リーズナブルな既製品のスーツが一気に売れるようになった。そして、またまた、オーダーメードのブームが来たが、今度は、格安のオーダーメードである。既製品の値段とそん色ないオーダーメードスーツである。

 

実は、IT業界の中でも、ソフトウェア業界は、この流れと同じである。

 

会社で使うソフトウェアはオーダーメードで作る時代が長かった。それぞれの会社の業種や規模、仕事のやり方に合わせて、ソフトウェアをITサービス業者に作ってもらう。もちろん、それなりの企業であれば、情報システム室で自前で作ることもある。

 

自前でオーダーメードであれば、大抵の場合、今やっている業務がそのままIT化される。

仕事が効率化され省力化されるメリットは幾つもあるが、デメリットもある。本来の標準化や合理化は進まない。

 

こういう時代が長く続いた後で、ソフトウェアパッケージなる商品が登場する。スーツで言えば、既製品である。出来ているものを買って使うということだ。

 

当然、値段はオーダーメードに比べて安い。また、世の中の経営や業界の標準が手に入る。場合によって、使う会社はダイエットが必要かもしれない。標準体型を求められる。

 

ソフトウェアも徐々に様々な体型のバリエーションに合うように、幾つかのオプション機能が付くようになってきた。これが30年前から10年前ぐらいまでのソフトウェアの主流の使い方であった。

 

今はどういう時代かと言うと、オーダーメードも既製品も存在するが、クラウドサービスの時代だ。例えば営業系のSalesForceなどの管理ソフトが有名だが、これは米国で生まれた。

 

これを日本の企業が使っている訳である。考えてみたら、国際的な標準の仕組みを日本も使っていることになる。

今、日本の企業も海外生まれのクラウドサービスを沢山使っている。これはこれで、企業経営としてもメリットもある。

 

一方で失いかけているものもある。

日本独自のモノづくり力に根差した仕事のやり方や、ハイサービスを実現するための人的なきめ細かいしくみは欠落していく。

 

まして、今は、中小企業とも言えどもITに適応が不可欠な時代である。

本当を言えば、中小企業のIT化は使い分けるのがベストである。

 

営業管理や業務管理のような標準化できることに関しては、海外のクラウドサービスでも国産でもどちらでもよい。ただし、情報セキュリティについては、厳密にチェックが必要であるが・・・。

 

一方で中小企業独自のしくみ、それが日本の強みに直結するような事業モデルや業務内容については、独自のソフトウェアが必要な時代だ。なぜなら、全て標準化できるものではない。オリジナルであればあるほど。

 

今、IT活用で注目するユーザー企業が増えてきた。

それは、独自の自社ビジネスのIT化をオーダーメードで完成させたところの存在感と役割が新たに生まれたと言える。

 

今、クラウドサービス全盛期だ。日本の中小企業のノウハウが凝縮された自社仕様のソフトウェアをパッケージ化する、更にはソフトウェアとしてクラウドサービス化をすることもできる。

 

これを同業者の中小企業に提供すると、売り手も買い手もがウィンウィンの関係になる。

 

そして近い将来、こういう日本の独自のノウハウが凝縮れたオールジャパンのソフトアェアサービスとして海を渡って新興国に貢献する。日本の中小企業のプレゼンスが新興国で際立つ。こういうことを実現しようと考えている。

 

以上