近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

住宅産業の未来と大都市の再構築を考える

今、好調な産業の一つは住宅産業だと思う。

もちろん、住宅産業と言っても様々な種類があるので、全てがそうだと言うわけではない。

 

少なくとも、私が日頃お付き合い頂いている住宅メーカーの経営者の話と私の考えをベースに住宅産業の未来を書こうと思う。

 

コロナ禍で、住宅産業の営業のやり方も大きく変わろうとしている。

今までのように、展示場やモデルハウスでの見学ありきでもない。もともと、3GやVRの活用も当たり前になってきていた世界に、オンライン接客も常識になりつつある。

 

一方、住宅を欲する人達の思考も大きく変わりつつある。

在宅勤務やテレワークを余儀なくされた苦難の間に、住宅の購入を考えていた人たちの判断基準が変わった。特に、若者達が大きく変化した。

 

彼らが、率先して、郊外の住宅を求めている。

そもそも、これから住宅を持ちたいと思う層には、通勤との兼ね合いで困難な選択があった。例えば勤務地は東京や大阪の大都市。この場所で住まいを買うとなると、マンションが一般的。しかし値段は高い。この20年ぐらいの間に、大都市に高層マンションは乱立し続けているが、若い層が簡単に手が出せるものでもない。

だから、しばらくは賃貸で。という選択になるのが自然だった。

 

 

生活環境や生活スタイルがコロナ過で一変した。

在宅勤務やテレワークは今後、定着するのは間違いがない。

きっかけは、感染症対策であったが、実際に体験してみるとメリットの多さに気づく。

 

通勤苦はなくなるし、時間も余ってくる。仮に、通勤時間が2時間節約できるだけで、人生の楽しみが沢山増える。平日の毎日の2時間である。月あたり約40時間。

自然とデュアルワークに使う人も増えてくる。そして、健全な生活を取り戻す人も自然と増える。

 

鶏が先か卵が先かの話にも似て来るが、企業側にとってもメリットがとても多い。

必然的に、働く側も企業も相思相愛になってきた。

 

だから元に戻らないし、ひとたび、郊外に若者が住みだすと、そう簡単には住居は変えないだろう。物価は安いし子育てにとっても、健康面でも恩恵がある自然環境に恵まれている。そして、人が集まればサービスも充実してくる。

しかも、住宅も安く買える。

 

こんな訳で、こういう顧客にターゲットを当ててきた住宅メーカーは絶好調ということである。

 

一方、大都市の住まいの様子はどうなのか?

コロナ禍前までは、高齢者に人気があった。高層マンションに田舎から移り住む人も多かった。生活が不便な田舎に比べて便利だからそういう選択になる。

 

結果、ますます田舎に空き家が増えていくのが現状である。また、都心部にもともとあった住宅地でも空き家の問題が目立っていた。

この10年は、古民家再生や空き家の再利用が日本全体の大きな課題の一つになってきた。特に空き家問題は、地権問題も絡んで、なかなか一筋縄でいかないことも多い。

 

今、田舎に行けば、どこの自治体もこの空き家対策に奔走している。

もともとある人口が減ることによる影響も大きいが、空き家が増えてくると街の治安にも影響があるし、生活環境としても健全とは言えない。

 

 

 

仮に、このまま若者が郊外に住み、更に都市部から中高年層も郊外に向かいだすと、すでに日本中の地方や田舎の問題である空き家が都市部でも更に問題になってくる。

今まで人気があった都市部でも空き家のマンションが増加することも考えられる。

 

そして、極端な話、都市部はオフィスワーカーの通勤族と高齢者ばかりになる可能性もある。

さらにこういう変化が進むと、高齢者も郊外に移ったり、今より便利で快適に変身した地方に戻ったりということも考えられる。

 

いずれにおいても、今までの大都市のあり方は変わる。

経済発展と共に住職隣接の時代から、大都市は住む場所である必要があるのか?という根本的な改革が必要になる。経済と文化と経済の中心の街として大都市が存在しても良いのではと思う。

 

 

以上