近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

中小企業のIT活用が成功するラストチャンスとなるだろうか?

いよいよ、デジタル庁が創設される。

 

約20年前に、電子政府構想を大々的に打ち出した日本が、言うだけ番長に終わらないことを願いたいが、政府のデジタル活用もさることながら、中小企業のデジタル活用の行く末もこれからの日本のとても大きな課題だと思う。

 



言うまでもないが、戦後復興を根底から支えてきたのは中小企業の活躍と発展と言っても過言ではない。

 

世界に通用するエクセレントカンパニーが何社日本に存在しようとも、中小企業がなくして存在できる大企業は皆無だ。

 

また、逆から見ると戦後復興の中で中小企業が相当数生まれ、淘汰の連続の中で中小企業が生き残ってきた。その中からわずかな確率で大企業が生まれたに過ぎない。

 

大企業が先か中小企業が先かと言えば、やはり、中小企業が元気で活躍して、尽きることなく新しい企業が生まれていくのが望ましい国の姿だ。

 

それは、かつての日本だし、今の新興国である。

ベトナムにしてもミャンマーにしても、どこの新興国にしても工業化立国を目指してきたが、やはり、すそ野産業の発展がその成否のカギを握る。

 

ちなみに、大企業のデジタル化は例外を除いて、相当進んでいる。それと連動してこの数十年、IT産業が発展してきた。

 

もちろん、政府のデジタル化というのは以前から課題認識は周知のとおりだが、如何せん、アナログの中小企業や生活者が根底にある日本では、政府だけデジタル化しても、矛盾が拡大するだけである。

 

結局、電子政府の進展と成果と言うのは、デジタルギャップやデシダルデバイドで表現されることも多いがIT活用が遅れた部分の状況に進捗が左右される。

 

これからは、実際に生活者自体のデジタル活用ももっと加速されるだろう。ただ、こちらはそれほどハードルが高いわけではない。

それは、基本的にそういう社会の仕組みやサービスを利用する立場だからだ。

 

ある意味、自分にとって便利なもの、自分に必要なものなど自分で取捨選択すればよい。

例えば、神戸から東京に行くのには幾つも方法がある。確かに、便利で最短は新幹線のぞみであるが、それも選択の自由である。

シニアのIT活用はやハードルが高いが、それも工夫の余地は山のようにある。

 

こんな風に考えていく中で、中小企業のIT活用が最難関だと考えている。

もちろん、その根拠には、自社の事業として、中小企業支援をしてきたことと、合わせて、IT活用支援をお手伝いしてきた経験があるのだが、すればするほど、アナログの世界であることを痛感する。

 

極端に言えば、中小企業の以外の部分がIT化というのは比較的進みやすい。

もう一度、整理すると大企業、生活者、政府、大学、病院・・こんな順番かもしれない。

 


結局は、デジタル庁の最大の取り組み課題は中小企業のIT活用ということになると考える。

 

では、どうすればよいかだ。

単純に中小企業に急激に変わりゆくビジネスのやり方の変化や取引の仕方に合わせなさい。これでは、中小企業の負荷が増大するだけだ。

 

今、コロナ禍で話題の焦点になっている節がある電子押印が典型的な事例だ。

この実現ですらハードルが高い。

一旦出来上がってしまった、朱肉を使って押印を押す。というこの文化とも言える日本のビジネスの習慣が一朝一夕で変えれるとも思わない。

 

私が提言したいのは、IT活用のプラットフォームを日本全国共通で提供できるとしたら、良い方向に向かうのではと思う。

 

国の生活基盤のインフラと言えば、水道、ガスに始まり、日本の充実した鉄道網、道路網などが世界でも群を抜いている。

 

これと同じ扱いで、中小企業のためのIT活用インフラを国や自治体が提供するのが良いと考える。法人の税収で国家予算の大部分が成り立っていることも鑑みると、中小企業からの税収もしっかりと安定的に確保でき、その財源を再投資に回せばよいと思う。

 

これまで、中小企業無くして国の仕組みが成り立ったことはない訳だから、私は、中小企業庁の中にデジタル庁があっても良いぐらいだと思う。

 

以上