近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

日本人がもう一つの日本語を学んで使う必要性

今、海外で日本語を学んでいる外国人はどれだけいるだろうか?

最近だと約385万人というデータもある。

当然、英語に比べたら圧倒的に少ない。

 

私は、ベトナムで20年以上ビジネス活動してきた。特に日本語を学ぶ新興国の人達には関りが深い。

ベトナムに初めて行った時に、訪れた日本語学校がいまだに忘れられない。それから何度、日本語を学ぶ教室を訪問した事だろうか?

直近では、1年半前にベトナムの北部都市ゲアンで友人の会社が運営する人材育成学校にお邪魔した。

 

この20年間に私の友人社長の皆さんを何度もご案内しているが、その度に皆一様に感動する。一生懸命に日本語を勉強する姿に心が洗われるのだ。純粋で真剣でかつ必死の様子は、今の日本では見ることが少なくなってきた。そう、彼らのハングリー精神や生きる力が伝わってくる。

 

最近、ベトナムに次いで、日本語を学ぶ人が多いのがネパールだ。私も4年前に訪問したが、その時は、ベトナムとは違うネパールの独特のものがあった。言葉では表現しにくいが、ベトナムに比べて、ネパールに来る日本人は少ない。だから、きっと、日本や日本人の情報は少ないと思う。未知の国への挑戦と言う雰囲気に溢れていた。

 

今、日本国内には、新興国から沢山の若者が日本に来ている。コロナ禍で一時期ブレーキはかかっているが、右肩上がりで増えていくことは容易に想定される。

 

理由はシンプルだ。

日本は彼らの労働力がないとすでに成り立たない経済や生活の仕組みになっている。

コンビニや居酒屋に行けば、必ず、新興国のアルバイトの彼らに遭遇する。

建築現場では技能実習生や特定技能制度での人材が活躍している。農業や工場でも言うまでもない。コンビニなどの日常生活で彼らと遭遇する機会が多くなってきたので、日本の変化に一般的な日本人も気づいているだろう。

 

ただ、それ以上に、日本の実態は彼らの労働に依存している。しかも、農業や製造業など、一般の人には見えないところで働いている人が多い。

もちろん、短期間にしろ、日本の生活者でもある。なかには、日本に生活基盤を置く人もいるだろう。

 

単一国民の意識の強かった国が、すでに多様な人が生活する国、日本に変わっているのだ。

この変化は向こう数十年は続く。主に労働力として来てほしい日本と、稼ぐために日本に行きたい新興国の人たちがマッチする構図がある限り。

 

こういう背景の中で、日本国内で生活する新興国の人達は、日本語の問題で苦労する。もちろん、その根っこには、まだまだ、日本社会がオープンに彼らに対して受け入れる気持ちとコミュニケーシンが成立していないこともあるが、日本語の壁も大きい問題だ。

 

 

今でも旧態依然として改革が進んでいないが、看護師をEPA制度で受け入れる際の資格試験を日本語で受ける時代があった。これもようやく英語や母国語で受ける方向には変わってきていると思うが、他の先進国で新興国の人達を受け入れている国は、英語が主で、新興国の人達にとっては、負担は少ない。

 

知る人ぞ知る、日本語は世界でも難しい言語である。また、日本語は、そもそも、英語などのメジャーな言語に比べると世界でほとんど学んでいる人がいない。そして、日本人は日本語しか話せない人がほとんどである。

 

海外で日本を学ぶ人は、もちろん、日本が好き、日本の文化を知るために・・という動機の人もいる。しかし大半は、日本が好きでも何でもないけど、稼ぐことが出来るから。だけど、日本語は学ばないと働けないから・・これが本音だろう。

 

私が、初めてベトナムを訪れた時からすると、日本語を教える仕組みもやり方も随分進歩した。今は、ネットの動画でもどこでも学べる時代でもある。今まで以上に日本語を学ぶ人たちは増えるだろうし、習熟スピードも速くなるだろう。

だからと言って、日本人がそれに乗じて甘えてはいけない。

 

例えば、IT業界などは、いまだに日本語を求める古い業界だが、日本にいても世界のどこにいてもIT業界は英語だけでできる最たる分野だ。日本人が英語ができないのが問題だ。

これは特殊な分野であるが、日本人が変わらないといけないことも沢山ある。

 

日本人も新しい日本語を学び、それを新興国の人達との共通言語にする。

私も偉そうなことは言えないが、私の関西弁は極めて分かりにくいと通訳の人に良く言われてきた。私も、新しい日本語をマスターして、それで新興国の人達と会話する。

 

実は、私は10年前に、ベトナムや他の東南アジアで通用する共通の英語を開発しようと本気で思っていた事がある。それだけ、国それぞれで英語が違うからだ。例えば、シンガポールの英語はシングリッシュ。日本人の英語はジャングリッシュ。一つには母国語の影響を受けるという事もあるが、共通の文法や言い回しで話すれば、随分違うと思ったものだ。

 

今の日本人がしないといけないのは、これだと確信している。

最近話題の“やさしい日本語”などは特にお勧めである。日本人も新興国の人も一緒に学ぶ、新しい日本語を普及しようと私は考えている。

 

以上