近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

テレワーク成功の秘訣は自立と自律が基本

1年ほど前から発生したコロナ禍によって、日本の働くスタイルが変わった。

とは言え、それはもともとオフィスワークしていた人にとってだ。もちろん、それ以外のいわゆる現場仕事の人達は、平時の何倍もの神経を使いながら業務にあたっている。本当にありがたい話である。

 

今回は、オフィスワークをテレワークでこなす場合の気を付けるポイントを整理しようと思う。

 

その前に、IT業界やクリエイティブ業界で流行したフレックスタイムを思い出してみる。

実は、私は、20代で最初に転職したIT人材派遣の会社でフレックスタイムは経験している。

 

私が所属していたのは、いわゆるソフトウェアの開発チームだ。基本的には実際の業務、つまり、プログラム作成やテストなどは単独業務だ。一人で全て完結できる仕事もあり、これはさほど問題は生じないが、複数メンバーで分担しているソフトウェア開発はにわかに難易度が高くなる。簡単に言うと、分担して作ったものを結合してテストして、バグがあれば、担当者が修正をする。そして、責任者が検証をする。

ソフトウェア開発もチームワークで行うプロジェクトと言われる所以だ。

 

こういう仕事は技術職でもあり、一見、フレックスタイムに向いているように思う。

フレックスタイムを簡単におさらいすると、完全フリーな場合と、コア時間だけ決めて、それ以外はフリーという場合のに種類が基本だ。

殆どのそれなりの会社はやはり、後者を選択していたと思う。

ある程度時間に融通が利いて、通勤ラッシュも避けられる。

その当時は、天国のような働き方だった。

しかし、今を見ればわかるように、定着しなかった。様々な問題が噴出したわけである。

 

私の2年間のフレックスタイム制でのストレスはこんな感じだった。

私より先輩のチーフプログラマーは完全に夜型、だから出勤は夕方から夜、そして仕事は夜中。私はその時も今も朝方。夏は5.00頃出社して、そして早ければ夕方に帰る。平時にはこれでお互いに問題はなかったのだが、プロジェクトが佳境に入り納期が迫ってくる。だんだんとギスギスしてくる。そして、お客さんからクレームが入る。当たり前だが、お客さんの電話は昼間だ。だから私は上司に代わって対応していた・・

こんな事が毎日続き、しまいに、私はその上司を説教したことがある。

幾ら自由でも自覚もって責任ある行動してください。と。

 

 

今仮に、フレックスでかつテレワークだったら、どういう問題が生じるかは容易に想像できる。

 

自由かつ見えない。こうなると在宅勤務であろうがサテライトオフィスであろうが大差ない。もちろん、自宅か外かではだいぶ違う。自宅は何かと誘惑も多く緊張感が緩むので、在宅勤務の方が自立は難しいとは思うが・・。

 

今のテレワークにしても在宅勤務にしてもワーケーションにしても、定着することを望みたい。その一方で、生産性が落ち、仕事の成果が悪くなり、納期遅延が横行し・・。悪い方に考えたら、いくらでもリスクが浮かぶ。

 

会社には社員教育がつきものだ。だからこそ、早急に自由裁量で働く時のスキルや考え方などのトレーニングは絶対に必要だと思う。

 

“社員に自由度を持たせるリスクと責任”ということを会社も社員も再認識する必要がある。

だからと言って、短絡的に、ITを駆使して、勤務時間を厳密に見える化しマネジメントすればよいというものではない。

 

管理コストや関わる人の心労も増大する。それはとても非効率だ。そこまでしてテレワークする必要があるのか?ということになる。今のような緊急時がずっと続くわけではない。元に戻った時に、それではテレワークの意味をなさない。

 

私が20代で実際に経験したフレックスタイムにしても、今一気に普及しつつあるテレワークにしても、やはり、働く一人一人の自覚と責任が重要である。自立ということが前提でないと、テレワークには向かないということである。

 

最後に全体の10%か20%の仕事ができる人にとって、ITを使うか使わないか。フレックスするかどうか。テレワークするかどうか。基本的には影響は受けない。自立以上に自律できるから仕事ができる人なのである。自律とは、読んで字のごとく、自分を律することが出来る、人に依存しない状態である。

私は長い間、経営をしている側の人間なので、できればこういう自律している人と一緒に仕事をしたいと思う。だから、経営者と限らず、外部の一流の人達との仕事が何よりも楽しい。

 

以上